先日、ある勉強会で知り合いのボディワーカーから声について教えてもらったことがある。それは「オーセンティック・ヴォイス」というもので、私は初耳だった。

「オーセンティック・ヴォイス」とは、聞いた時に脳の奥から心地良い(脳が納得する)、心身が健康な状態で出される声、好きだと思える自分の声(無意識下で心身が喜ぶ声)のことで、それがその人の本当の声、真実の声だということだ。

私はそんな風に自分の声のことを観察したことがなかった。遠い昔、カセットテープに自分の声を録音して聞いたことがあった。その声は自分がイメージしている声と全く違っていたが、そんなもんなんだとスルーしていた。近頃ではマインドフル瞑想を誘導した後、クライアントが自宅で自主練習する時にあなたの声の誘導を使いたいので録音をさせてほしいということが何度かあった。それが自分の声とどう関係しているのかなど考えたこともなかったが、「オーセンティック・ヴォイス」の話を聞いて俄然興味が沸いてきたので、今は色々試してみようと考えている。

「オーセンティック・ヴォイス」の話を聞いて、バーゲン中の女性店員の声を思い出した。後頭部から抜けていくような鼻声にも似た高い声で「いらっしゃいませ〜」と呼び込む声。その声がどの店の女性店員も同じで気味が悪いとさえ感じていた。テレビでも女性は「かわいい声」がうける。女性は可愛い方がいい、若い、未熟な、小さな「女性の声」を作ることで“従順”に見せるというジェンダーのなせる技なのかもしれない。こういった意識が日本の女性には潜在的に植え付けられているのだろうか、日本人の女性の声は世界一高いと言われているらしい。

そういえば、フェミカンの仲間で“従順な”「かわいい声」を出す人にはあまり会ったことがないような気がする。「オーセンティック・ヴォイス」なのかどうかは分からないが、私が知っている限り、自分の声ではっきりと話す人が多いと感じる。

そんな自分の声を持つ仲間といると私はとても落ち着く。

※ この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。