「デートDV予防啓発セミナー」

 私の所属する団体では、女性の心理的回復をサポートするフェミニストカウンセリング、アサーティブネストレーニングや自己尊重トレーニングなどのワークショップ、CRグループのサポートの他に、若者を対象としたデートDV予防啓発セミナー・コミュニケーションセミナーを提供している。十数年前から県内の中学校や高校、専門学校、大学などで実施してきた。
A市の依頼を受け、A市内の全中学校に「コミュニケーションセミナー・自分を大切、相手も大切にして自分の未来を考えよう」と題し、出前授業をするようになってから約10年(コロナ禍で2年間は中止)になる。この事業はA市の総合計画、並びに男女共同参画推進計画のもと、実施されている。
今年度の「コミュニケーションセミナー」が昨日から始まり、メンバー3人でB中学校に出向いた。3年生約230名と一緒に、?友だちとのコミュニケーションや関係を考える−ピア・プレッシャー、対等な人間関係、Iメッセージ、アサーティブな表現についての説明や紹介、?好きな人とのコミュニケーションや関係を考える−デートDV、DVがなぜなくならないのか、ジェンダーバイアスについての説明や相談機関の紹介、?自分の未来をイメージしてみる−多様性を大切にした社会に生きること、将来の家族は自分で選択できること、という内容を参加体験型セミナーで提供した。
この?については数年前に、市の職員とバトルがあった。「A市では若い世代の結婚、出産、子育て、教育の希望を叶える環境づくりを進めているところです。自分の将来を考え、家庭を持つことを勧める内容にしてほしいです」と要望され、とても困った。行政として少子化対策が種々の計画に盛り込まれているのだろうと思ったが、一人一人がその人らしく、生き生きと安心して生きることができる社会の実現をめざす私たちが、若い世代に伝えたいこととは異なる。話し合いの結果、自分の未来をイメージして自分が選んだ家族を持つことができるとした内容にすることで折り合いがついた経緯がある。
終了後の生徒Cさんは、「嫌だと思ったことは相手に伝えたいと思います。コミュニケーションは、子ども大人関係なく必要なもので大切なものだと分かりました」と感想を述べた。
昨年度の生徒の感想には、「友だちの誘いや言ったことにつられず、自分の意見をはっきり言えるようにしたいです。自分と相手の関係を対等に保ち、Iメッセージをすることができるようにしていきたいです」、「DVにはいろいろなことがあると分かりました。デートDVだけは絶対に避けたいです」、「多様性をしっかり尊重しようと思います」などとあり、私はエンパワーメントされた。
この若い世代の人たちが、対等で安心できる人間関係づくりや暴力について考える一助になり、あの時にこんな話を聞いたなと思い出してくれるとことを願う。今年度の生徒たちの感想を楽しみにしている。

※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。