3月15日のぱたぱた日記
今年もミモザを買いそびれた。テレビの前の小さなひな人形を片付けて、国際女性デーの大盛り上がりをネットニュースでチェックする。
「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」は、「政治家ジェンダー問題発言」の投票結果を公表した。今年のワースト1位は自民党
の杉田水脈(みお)衆院議員が性暴力被害者への支援をめぐって発言した「女性はいくらでも嘘をつける」、2位は森喜朗氏の「(組織委の
女性理事は)みんなわきまえておられて」などの発言だった。
森喜朗オリパラ組織委員会会長の女性蔑視発言は、「女の分際で、身の程をわきまえろ」と言われ続けてきたこの国の女性たちに火をつけた。ジェンダー平等はオリンピック東京大会の基本原則のひとつ。多くの女性たちが氏の発言に異を唱え「#わきまえない女」はTwitterのトレンド1位になった。各種メディアも批判を続け、コロナでオリンピックの開催が危ぶまれる中、日本のおそまつな現状は世界中に知れ渡った。
キレッキレの謝罪会見が炎上。森氏は辞任を決め、同世代の川淵三郎氏(84歳)を自宅に呼んで後任を要請したら、ノリノリで受諾し「森会長には相談役で残ってもらいます」。さすがにそれはあかんやろとダメ出しされ、その後の密室会議で決まった後釜は、森氏が娘のようにかわいがってきた橋本聖子五輪相。決まるや否や、過去のセクハラ問題が浮上。橋本氏が抜けたポストに就任した丸川珠代五輪相兼男女共同参画担当相は、夫婦別姓に「反対」。
トンデモ続きの人事に世論が湧きたつ中、政府は9日、ジェンダー平等の取り組みを強化しようと、男女共同参画推進本部の会合を13年ぶりに開いたという。ねえねえ、今まで何しとったん? さすがはジェンダーギャップ指数121位の国である。
政府があたふたと後手後手の対応を繰り返す中、今月も各地でフラワーデモが開催された。性犯罪の無罪判決が相次いだのは2年前の3月。翌月から毎月11日に女性たちは花を持って集まるようになった。多くの女たちが、街頭で、マイクを持って、自分の性被害について語り、聴衆は「#MeToo」「#WithYou」のプラカードを掲げ、勇気を支えた。
女たちは怒っていた。そして、連帯した。「女性はいくらでも嘘をつける」と発言した杉田氏は、権力者のおっちゃんたちに忖度する「わきま
えた態度」が評価され政治の世界でのし上がってきた、いわゆる「名誉男性」だ。彼女の発言に女たちは、それはあなたの自己紹介。一緒にするな、被害者を傷つけるなと、NOを突きつけた。
明らかに、潮目が変わった。失言大王に感謝である。今やニュースサイトで「ジェンダー」という文字を見ない日はない。性犯罪やDV、虐待のニュースが流れない日もない。女性の生きづらさがようやく可視化されてきた。
フェミニズムは、女性たちの「なんだか苦しい」に名前をつけてきた。Personal is Political(個人的なことは政治的なこと)という理念のもと、女性たちの消え入りそうな声を聞いてきたのがフェミニストカウンセリングだ。
ジェンダーの視点は、私たちフェミカンの専門性である。今こそ原点に戻り、フェミカンに出会った時の感動や安堵を多くの女性に広げたい。Twitterのトレンドに「#フェミニストカウンセリング」を載せたい。
待ちに待った、フェミカンの時代が来た。
※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。