「11月、パープルリボンに想いを込めて」
11月は「女性に対する暴力をなくす運動」期間、いわゆるDV防止週間があります。毎年11月12日から25日までの2週間、全国各地でシンポジウムや講演、啓発キャンペーンが行われます。パープルのリボンが象徴するこの取り組みは、私たちが暴力を「個人の問題」ではなく「社会の問題」として見つめ直す機会でもあります。
フェミニストカウンセリングが生まれた背景にも、こうした「見えない暴力」への気づきがありました。DVや性暴力、モラルハラスメント、経済的支配など、暴力は家庭や職場、学校、地域の中に形を変えて存在しています。被害を受けた人が「なぜ逃げないのか」「我慢すればいい」と責められる構造は今も根強く、暴力の根を絶ち切るには社会全体の意識の変化が必要です。
カウンセリングや相談の現場では、被害を語ることの困難さに日々向き合っています。暴力を受けた人が「自分が悪いのではない」と言葉にできるまでには、長い時間と安全な場が必要です。フェミニストカウンセリングは、その「語りの場」を守り、力を取り戻すプロセスに寄り添う実践として歩んできました。暴力の被害を「支援」や「救済」として一方向に扱うのではなく、当事者が自分の力を回復し、自分の人生を再び選び取ることを大切にしています。
また、近年ではSNS上での誹謗中傷、職場のジェンダー不平等、ケア労働の過重負担など、暴力の形がより複雑に、そして巧妙になっています。「暴力をなくす」という目標は、単に加害行為をやめさせることだけではなく、人が人として尊重される関係性を築き直すことでもあります。フェミニストカウンセリングは、そのためのまなざしと実践を社会に広げていく役割を担っているといえるでしょう。
DV防止週間にあたり、私たち一人ひとりが「暴力とは何か」「沈黙してきた声はどこにあるのか」に改めて耳を傾けたいと思います。そして、暴力のない社会をつくるために、カウンセラー、支援者、市民としてできることを考え、行動する機会としたいものです。
紫の光に包まれる11月、見えにくい痛みに目を向けることが、連帯と変化の第一歩になります。フェミニストカウンセリングが培ってきた知と実践をもとに、私たちはこれからも「暴力のない社会」「誰もが安心して語れる社会」をめざして歩みを進めていきましょう。
※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。

