8月15日のぱたぱた日記

コロナパンデミックが急拡大し手の打ちようがない中、いろいろな意見も物議も散々にあったオリンピック東京大会が終了しました。

この東京大会までの間に、何人もの演出担当者のパワハラ、セクハラ等だけでなく、体操、レスリングや空手の女子選手に対する監督による暴力やパワハラが明るみにでました。どれも被害を訴えた女性アスリートが選手生命をかけて訴えたこと。過去には柔道女子選手に対する暴力も問題化しています。このようなハラスメント文化とメンタリティーを通底するものを孕みもっとも社会に記憶を残した2つの事件が、元森会長発言を巡る一連の流れと、河村たかし名古屋市長の金メダルガブリ事件でしょう。

元森会長の女性差別発言はオリンピックというグローバルかつ世界規模の経済的なイベントが、いかに家父長制、男性中心主義の中で行なわれているかを露わにし、そこには脇に置かれてきた女性アスリートへの敬意などみじんも感じられませんでした。河村たかし名古屋市長は、表敬訪問したソフトボール女子選手の金メダルをいきなりガブリとやり、その後の会話で「背が高い」だの、「かわいいお嬢さん」「ソフトの女子はポニーテールで色が黒くてええ」「受験勉強なんかどうでもいい、ソフトボールをやっていれば」「ええ旦那をもらって」「たくましくてキュート」で「ワイルドさ、元気な女の子は最高だ」「アップにたえられるのか」…。言いたい放題。セクハラ発言ではと問われると「リラックスさせるために言った、フレンドリーな空気が流れていた」と無自覚で責任転嫁する『親父』の加害者発言そのもの。

この振る舞いに、権力者にいきなり境界侵入され、自分の最も大切な根幹に関わる部分を侵襲されたのと同様の、生理的な嫌悪感を抱いた女性は少なくないでしょう。しかし、当の本人は自分の何が批判されているのか全く理解していないことは明らか。もっと腹立たしいのが、選手の所属先であるトヨタ自動車から抗議を受けると河村市長は本社に飛んでいって謝罪しようとし、断られました。謝罪すべきは会社ではなく選手に対してなのに。記者会見で役人の書いた謝罪文を不承不承、ぶっきら棒に読み上げて問題を収束させたつもりでしょう。そして、代わりに自腹で新品の金メダルを買ってあげるから許してちょうよと。イイカゲンニシロです。今までならこれほどは問題化されなかったかもしれない男性文化の醜悪さとミソジニーを、日本社会が許容できることではないと反応したことは、少しはよかったか?

今回のオリンピックは初めて参加アスリートの約半数が女性になったこと、すべての参加国に女性選手が参加したこと、MtFの選手やバイセクシャルをカミングアウトした金メダル選手などヘテロセクシュアルを越える挑戦や、セクシュアルな視線の対象とされてきたレオタード姿を変える変革を起こした彼女らを記念する大会でした。日本の女性アスリートが大活躍、特に若い世代の選手達が、自分のこととして持てる力の限界突破に挑戦する姿のすがすがしさ、他国の選手達と讃えあう姿はシスターフットそのもの。その彼女たちと母親以上に年齢の高い女性達が堂々と勝負していた姿も感慨深いものがありました。本当はこのコラム、既成概念をブレークスルーする力に未来を感じたと気持ちよいコラムになる筈でしたのに。

※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。