これまでも これからも フェミニストカウンセリングで女性をエンパワメント
2025年の年が明けました。21世紀に入って25年、4分の1世紀が過ぎました。ミレニアムだと騒ぎ、電子機器の21世紀問題で大変なことが起きると騒がれたことを思い出します。電子機器をめぐる重大問題は起こりませんでしたが、イスラエルとパレスチナの衝突の激化、プーチン氏の大統領選挙勝利など、今の世界情勢につながる動きが既に始まっていました。女性をめぐる問題ではストーカー規制法の成立、柏崎の少女監禁事件などが記憶に残っています。前年の1999年には男女共同参画社会基本法が成立しています。
それから25年後の今年、2022年に成立、2024年4月に施行された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下「困難女性支援法」)が市区町村レベルでも本格的に施行されます。この法律で謳われている「支援」は、従来の保護、更生、指導とは異なる個人の意思を尊重した支援です。個別性と自己決定の過程が支援されます。対象はすべての「困難な問題を抱えている女性」。その方たちへの継続的で一貫した支援、包括的な支援です。この支援の形、どこかで見たことがありませんか?
現在では予算の問題等で、変則的な形になっているところも多いようですが、上記のような支援はスタート当時の男女共同参画センターで行われていた相談支援の形です。そこでは、相談を内容ごとに専門相談にふり分けるのではなく、女性の訴えをそのまま受け入れ、耳を傾け、女性の自立と社会参加とを目指した心理的サポートと行動に向けたサポートとを行ってきました。社会構造や制度についての情報提供、新しい見方や価値観、選択肢の提供、そして相談者の自己決定を支援、自らの状況を変える力、つまりエンパワメントを目指した、息の長い支援です。
おわかりかと思いますが、このような相談支援を行うには、女性心理とジェンダー社会に関する知識が不可欠です。30年にわたって蓄積してきたフェミニストカウンセリングの知識と実践の経験を、困難を抱えたすべての女性たちのために活かせるときです。
今年はこのメルマガにも「困難な問題を抱えた女性への支援」をめぐる情報提供と報告、そして議論とが多彩に行われる年にしたいと考えています。情報提供や報告、ご意見のある方は是非学会理事会メルマガ担当までご連絡ください。皆様にとって、そして学会にとって実り多い一年となりますように。
※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。