「女性の政治参画と富山市議選トップ当選」

 近年、女性の政治参画や女性議員の割合を増やすための取り組みが続いていますが、依然として多くの課題が残されています。その背景には、政治におけるジェンダー意識の遅れや、女性が立候補しづらい環境があると考えられます。例えば、選挙資金や支援ネットワークの不足、さらには有権者の意識、地域社会や家族の影響などが挙げられます。
 特に富山県の状況を見ると、教育分野では全国2位という高い評価を受けていますが、政治分野では45位と、下から2番目という厳しい現状があります。これは、女性の社会進出が進んでいるにもかかわらず、政治の場では十分に活躍できていないことを示しています。残念ながら、県議会や市町村議会の女性比率は低く、市町村長に女性首長がいません(2025年1月1日時点)。
 政治は“男性中心の社会”として考えられがちであり、女性が参加したいと思っても、「女性は関わるな(発言するな)」と露骨に示されることがあります。一方で、世界を見渡すと、フィンランドやニュージーランドのように、女性が首相や閣僚の多数を占める国も増えています。これらの国々では、ジェンダー平等を推進する政策が積極的に採用され、女性の政治参加が当たり前のものとなっています。
 日本でもこうした動きを加速させるためには、女性候補者への支援を強化し、政治の場におけるジェンダー平等を推進する必要があります。例えば、政党の公認・推薦プロセスの透明化や、育児・介護・仕事をしながら政治活動を両立できる制度の整備が進めば、状況は大きく変わるのではないでしょうか。
 また、教育水準の高さを活かし、若い世代に政治参加の重要性を伝えていくことが鍵となります。学校教育の中でジェンダー平等や政治参画の意義を学ぶ機会を増やし、女性が政治の場に進出しやすい環境を整えることが重要です。
 これからは、候補者として立ち上がるか、あるいは積極的に候補者を応援し、ジェンダー平等の視点を持った政策を支持することが大切です。私たちの声を無駄にすることなく、政治を変える原動力にする必要があります。「投票しても意味がない」「何も変わらない」と後ろ向きになっている人こそ、ぜひ選挙に関わり候補者を応援してほしいと思います。
 そして、2025年4月には富山市議会議員選挙が行われました。今年1月末に離職したばかりの2歳児を育てる気象予報士の女性が、わずか2ヶ月ほどの選挙準備期間で見事トップ当選を果たしました。気象予報士として地元放送局での知名度はありましたが、政治や選挙のことは何も知らない状態での挑戦でした。私も選挙活動を手伝いながら、最後まで結果がどうなるのか分からない状況でした。選対人員も少なく、不安と隣り合わせでした。
加えて、応援に駆け付けてくれたはずの一部の現役議員から、激励をもらえるかと思いきや、嫌味や卑下する言葉を受け、「何しに来たのか…帰れ」と言い返したくなる場面が度々あり、唇を噛みしめる思いでした。しかし結果は、2005年の市町村合併後の最多得票数を獲得し、少数精鋭でも戦えることを証明してくれました。
 これからは、政治の古い慣習にとらわれることなく、新しい人が新しい風を吹かせてくれることを願いたいです。そして、みなさんの大切な一票を、私たちの思いを託せる人に投票しましょう。
参考:都道府県版ジェンダー・ギャップ指数 | あなたの地域の男女平等度は?
https://digital.kyodonews.jp/gender2025

※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。